2010年9月25日土曜日

四則演算の怪

今回の話題は、ActionScriptでクラスを定義していたときに出会った不思議な現象。四則演算の結果が、クラスのどこに書かれるかによって結果がかわってくるというもの。今回説明のために用いる計算式は、5÷10×3である。計算結果は、1.5となるはずである。

ところが、ActionScriptでは、この式がどこに書かれるかによって、結果がかわってくるのである。次がそれを見るためのサンプルコードである。

package {
  import flash.display.Sprite;

     public class Arithmetic extends Sprite {

     private var a:Number = 5 / 10 * 3;
     private var b:Number = 5 * 3 / 10;
     private var c:Number = 5.0 * 3.0 / 10.0;

     public function Arithmetic() {
       var d:Number = 5 / 10 * 3;
       var e:Number = 5 * 3 / 10;
       trace("a =", a);
       trace("b =", b);
       trace("c =", c);
       trace("d =", d);
       trace("e =", e);
       trace(”5/10*3 =", 5 / 10 * 3);
       trace("5*3/10 =", 5 * 3 / 10);
    }
  }
}


このコード内にはaからeまでの変数が定義されており、それぞれに先述の計算式の結果が代入されるようになっている。したがって、すべての変数の値は同じ1.5になると予想される。最後の2行のtraceは変数を媒介しない場合の結果を念のため出力している。もちろん、この結果も1.5となるだろう。では、結果である。


a = 0
b = 1
c = 1.5
d = 1.5
e = 1.5
5/10*3 = 1.5
5*3/10 = 1.5


なんと、変数abは、予想外の結果である。どうも整数として計算されているようだ。あえて小数点以下を記述してみると、cにあるように1.5になる。しかし、コンストラクタ内の式では、小数点などつけなくてもちゃんと実数として計算されている。とんだ落とし穴である。メンバー変数の定義に初期値を計算式で記述する場合には、注意が必要なようだ。どうしてこうなるのか理由は不明だ。

ちなみに、a=0となる理由は、最初の割り算の結果が0になっているからで、その後は何をかけ算しようと結果は0である。一方、b=1となる理由は、先にかけ算が実行される事で値が0になる事を防いでいるからである。

2010年9月11日土曜日

モーション あれこれ その5

前回まで、モーションの中で、とくにイージングを扱ってきた。今回は、バウンドしながら止まるモーションを扱ってみたい。ヒントになる関数は、反比例とsin関数を合成したもの。グラフにすると、次のようなイメージ。赤い破線が反比例のグラフで、緑の破線がsin関数。これらを掛け合わせたグラフが青い実線のグラフである。これのx>0の部分を使おうというアイデアである。

ちなみに、x=0のときは、計算不能である。少なくともActionScriptでは。幸いな事に、このときの値を1とすると、グラフが滑らかにつながる事が知られている。x=0のときは、1として計算するようにプログラミングすればよい。

これを、今まで同様、物体の初期座標をp0t秒後の座標をp(t)とする。そして、物体は、t1秒後にp1の位置で停止するものとした。これらの記号を用いて式を書き直すと、となる。ここで、nは物体が到着地で止まらずに行き過ぎる回数である。時間と移動距離のグラフは、のようになる。これは、n=3のときの例で、p1の位置を3度通り過ぎている事がわかる。止まるときにバウンドしながら止まるわけだ。

最初の到着時刻(すなわち、最初にと着地点を通り過ぎる時刻)t0は、t0=t1/(n+1)である。また、最初の到着時刻からt1を求めるには、t1=(n+1)t0となる。

2010年9月4日土曜日

モーション あれこれ その4

前回の続き、n次関数を使って始点終点の両方でイージング効果を得られる式を考察してみる。今まで同様、物体の初期座標をp0t秒後の座標をp(t)とする。そして、物体は、t1秒後にp1の位置で停止するものとする。

式は、今までのように1つの式では書けず、tの値によって次のようになる。
この式は、t=t1/2のところで、ちゃんと滑らかにつながっている。グラフにすると、となる。赤い線がn=2、黄色い線がn=3、緑の線がn=4のときのものである。参考までに、等速運動と単振動を合成した場合のグラフ(青い線)も載せておいた。どうやら、n=2では、等速運動と単振動を合成したものと比べて、強いイージング効果を得る事はできないようだ。n=3以上ならば、より強いイージング効果が得られる。必要に応じて、使い分ければよい。